山口ダム
山口ダムは、愛知県瀬戸市にある庄内川水系山口川(赤津川)にある廃ダムです。海上(かいしょ)の森と呼ばれる里山エリアにあり、愛知万博以降は「愛知万博記念の森」として将来にわたって保存していく森となっています。
この山口ダムの堤高は17.1メートルありいわゆるハイダムに属する重力式のコンクリートダムです。ダムの用途としては「洪水調整」「灌漑」「上水道」と複数の機能を持った多目的ダムとして建設されました。現在では多目的ダムは珍しくありませんが、当時は完成事例として挙げられるほどの非常に先進的な試みでした。
現在はその役目を終えて里山の奥地にひっそりとその姿を残しています。そんな山口ダムを今回はご紹介します。
訪問
山口ダムへは、海上の森駐車場より以下の地図で示すような徒歩道を歩いていくことで到達できます。ただし、徒歩道とは言えどもほぼ未整備の場所のため安全対策を万全に汚れてもよい服で訪問されることを推奨します。
海上の森駐車場から少し開けた道に入ります。しかし、数十メートル進むと以下のように道は藪の中へと消えていきます。
藪は背丈よりも高い状態です。藪をかき分けるというよりは、藪の中を潜って進んでいくと比較的容易に道を進んでいくことができます。夏場には、蛇や蜂などがいる可能性がありますのでくれぐれも注意して通行してください。
藪漕ぎが非常に嫌いな作者はすでにここで心が居れそうになっていました…(笑
藪が終わると水路跡が現れます。水路を越えて山道を数十メートル歩いていきます。
そして現れる…
そんな山道を進んでいくと姿を見せてくれるのが「山口ダム」です。堤高17.1メートル、堤頂長56メートルの立派なダムは、廃墟になったとはいえ非常に迫力ある佇まいです。
現在はダムとしての機能を失っているため水はすべて放流状態に置かれています。
天端にも立ち入り禁止などなく入ることができます。バルブやダムゲートを調整するためのハンドルなどが備えられています。しかしながら、すでに水を湛えることのなくなったこのダムには無意味な存在になっています。
到達難易度は非常に高いですが、行ってよかったと思える廃ダムでした。現在はダムとしての機能を失っています。しかしながら、この地域の人々を洪水や干ばつから救ったこのダムはこの先も静かにこの森で優駿な姿で残り続けることでしょう。
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